横山雄一さんインタビュー
栃木県益子町で陶芸創作を行いながら、陶芸体験を行い、カフェ2店舗、レストラン1店舗、パン屋1店舗も経営している横山雄一さん。様々なチャンネルを作ったのには、陶芸を楽しんでもらうきっかけを多くしたかったから。そんな横山さんに「益子焼」への想いを聞いてみました。
実際に益子焼に触れってもらって、
「手作り器」の良さを感じてもらいたい。
―――陶芸を始めたきっかけは?
横山 父方の祖父も母方の祖父も陶芸職人で、私の父も陶芸家です。小さい頃から日常的に陶芸に触れていました。弟が2人いて3兄弟なんですが、2番目の真也は、中学校くらいから陶芸をやっていた記憶があります。陶芸が好きだったみたいで、学校から帰ってきては、陶芸制作を行っていました。三男の貴史も同じような感じでしたね。実は私は、そこまで触れていなかったです(笑)。ただ作るのは好きだったので、たまに粘土遊びはしていました。その後、自然と興味が湧いてきて、家業を継ぐ流れになったんです。
―――陶芸以外にも今はカフェも経営していますが、なぜカフェもやろうと思ったんですか?
横山 元々は、陶芸品を作って販売するということをしていたのですが、お客さんから「陶芸を作る体験はできないか」という声があって、まず陶芸教室を開いたんです。2000年頃だったと思います。陶芸教室って作品作りに集中したい作家さんは、あまりやらないと思うんです。私も正直、最初はたいへんでした。お客さんと一緒に作って、確実に焼き上げて、送らなきゃいけない。焼く時って、たくさんの陶器を一気に焼くので、しっかり分かるようにしておかないと、混ざって誰が誰のモノか分からなくなってしまう。それでも続けているのは、手作りの温かさだったり、手作りの良さを実際に体験することによって、実感できると思っているんです。単に自分で作ったモノを使ってもらうということだけではないんです。陶芸体験でより益子焼の魅力を感じて頂けたらと思っています。
こんな思いをもって、陶芸教室を行っていると、今度は、「終わった後に寛げる場所があるといいな」って思っていまして。それで、2002年頃に、ここの2階に「益子の茶屋」というカフェを作りました。当時、いろんな地域のデザートを食べに行くのが好きで、それで自分なりに勉強して、ケーキとかプリンとか自分で焼いて作っていました。今は益子にも多くのカフェがありますが、この時はまだ益子にもカフェはほとんどなかったと思います。
その頃から栃木県那須の「NASU SHOZO CAFÉ」や黒磯の「1988 CAFÉ SHOZO」が有名で、この那須エリアが好きで、結構、遊びに行ってたんです。益子でカフェを開いたら、自分で作った益子焼の器も使えるし、いいかなと思ったんです。なので今でもカフェで使われている陶器は、私が作った作品が大体使われています。
―――カフェだけでなく、「森のレストラン」という素敵なレストランや「森パン」というパン屋さんも経営されていますよね?
横山 森のレストンでは、自分で作った器でお食事して頂くと、気づくかもしれないですが、食器がいいとお料理も美味しく見えると思うんです。高級料理店は別ですけど、一般的なレストランでは、そこまで器に拘っている所も少ないと思うんです。逆に益子には器が豊富にありますので、器自体で個性を出すこともできます。これは益子のレストランならではの個性だと思っています。それとパンは好きで、毎月1回、那須(益子から約70km)までパンを買いに行っていました。益子の茶屋、森のレストランで自家製のパンを出したかったんですが、結構、難しくて。そんな時に、東京の繁盛パン店で長年修行した人が森のレストランに入ってくれて。その方と私で森のレストランは抜けて、パン屋を始めたんです。
今は立派なパンの職人さんが働いてくれています。結局、陶芸だけでなく料理作りやパン作りまで全て自分で携わることになったんですけど、元々、陶芸以外のことをやろうと言いだすのは、ウチの父親なんです。父親が案を出して私が実現してきたという感じですね。
―――様々な場所で横山さんが作った陶芸が使われているんですね。陶芸作のこだわりは?
横山 やっぱり使ってもらうお客さんが使いやすいものがいいと思っています。男性用の陶器はいろいろあるんですけど、それを女性が使うと大き過ぎる。なので女性が使うことを考えて茶碗の大きさも小さいものを作ったりはします。とにかく「普通」に囚われないようにしています。いろんな人の意見を聞いて、他にはないけど、使い勝手がいいものを目指しています。
―――なるほど、話は変わりますが陶芸体験には外国人のお客様はいらっしゃいますか?
横山 今はほとんど訪れていませんが、毎年、香港から来てくれるお客さんはいますよ。
もう6,7年毎年来てくれます。Instagram
で繋がっているお客さんです。実は私は英語そんなにしゃべれないですけど、カタコトな英語でやりとりはしています。ただ実際にジェスチャーで理解してくれるものです。海外のお客さんが作る陶器は、独特の個性があって、非常にアーテスティクな陶器を作られます。どうしても完成した陶器を送ると、高い送料がかかってしまうので、例えば、体験した陶器ではなく、体験後、完成品を1つプレゼントするという体験プランもいいかなと考えております。
―――最後に今後の展開は?
横山 やっぱり益子焼を作っている者として、やっぱり益子の器にもっと興味を持ってもらいたいなと思っています。「陶芸体験」「レストラン」「ギャラリー」などどれでも構いませんから益子の器に触れるきっかけになればいいなと。そういえば、10年以上前からやっていて、一旦止めてしまったんですが、オンラインストア(日本語のみ)を再開しました。このオンラインストアでも手軽に益子焼を味わうことができると思います。こうやって益子焼をきっかけにして、益子に訪れてもらって、田んぼだったり、里山だったり、益子の風土を楽しんでもらえたらいいんじゃないでしょうか。
横山雄一 略歴
益子焼窯元よこやま長男
昭和45年 陶工・横山由夫の長男として益子町に生まれる。
平成2年 愛知県窯業高等技術専門学校・デザイン科卒
平成3年 父指導のもと陶学
益子焼窯元共販センターにて初個展
栃木県芸術祭入選(平成4.5.6.8年)
平成11年 陶芸教室にて指導ほか
素桜模様デザインの焼締陶器を主に、和モダンカフェシリーズ、赤貝焼締シリーズの他、オーダーメイドの器注文受注。陶芸教室講師。
陶芸体験
スタート時間:ろくろ体験スタート時間(1日6回開催)益子焼陶芸体験
9:00〜、10:00〜、11:00〜、13:00〜、14:00〜、15:00〜
※インターネット・お電話でご予約可能です。
※開始時間の15分前までに受付をお済ませください。(ゴールデンウィーク中は30分前に受付にお越しください)
店舗 | 陶芸体験教室よこやま |
住所 | 〒321-4217栃木県芳賀郡益子町益子3527-7 |
TEL | ご予約・お問い合わせ専用フリーダイヤル0120-696-864(ろくろやろーよ) ↑電話をかける(営業時間9:00〜17:00) 又は0285-72-9211 |
営業時間 | 9:00〜17:00(最終受付15:00) |
定休日 | 毎週月曜日。第1、3火曜日<月曜が祝日の場合には翌営業日が代休>他、年末年始休業あり。詳しくは営業カレンダーをご確認ください。 4月:4/20(火)は第3火曜ですが営業いたします。 5月:ゴールデンウィーク中は営業いたします。5/6(木)は代休となります。 |
駐車場 | 駐車場40台完備です。バスでのご来店は事前にお申しつけください。 |
ご予約 | 前日まではご予約フォーム。当日はお電話にてお問い合わせください |
その他 | 陶芸体験施設は、店内が狭いため車椅子でのご来店には基本的にはご対応しておりません。 |
陶芸家さんへのお問合せは下記メールアドレスまで
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